病気は言いふらせ

姉と話をしていて
ひょんな話の流れから「病気」の昔話になりました

 病気と一口に言っても
 内臓の病気や外傷の病気や神経の病気やらさまざまです

 知人が何処の病院に行っても
 原因の分らない病気になられたらしい
 病気と言っても顔面の「かゆみ」の病気です

 顔面に出る激しい「かゆみ」と「腫れ」で赤くなり、特に目の下のあたりが凄く
 腫れてる
 原因は思いつかない・・・・・と言われるその方は
 皮膚科にいくと「軽い炎症ですな」と言われ
 「かゆみ止めと炎症防止の軟膏」を貰って毎日、塗っていたそうです

 しかし
 症状はいっこうによくならず・・・・さらに酷くなるばかりなので
 次は内科へ行き内臓からくる発疹かと思い検査を全部したそうです

 何処にも異常がみあたらず
 そこでは
 「取り合えず胃薬を出しておきましょう
  それと軟膏を出しておきます」と言われたそうです

 「取り合えず・・・・」という医者の言葉に不満を感じたものの
 「医者に突っ込み」も入れられず・・・・そのまま帰ってきたそうです

 案外、お医者様でも見つけられないことがたくさんあるんですよね

 顔面のかゆみと腫れは酷いものの
 日常生活に問題はないまま2週間くらい軟膏を塗る日々

 かゆくてたまらない・・・・見た目も悪い・・・・目の下が一番酷い

 あちらこちらで
 その話をして言いふらしていると
 周り回って・・・・あるおばあさんの耳にその話が入ってきたらしい

 ある日。。。。ご近所のおばあさまがドアを「コンコン」と叩いて尋ねてこられました

 余り・・・・親しくもない・・・おばあさまでしたが
 手に何か?器を持ってらっしゃる

 「○○さんの友達から○○さんがえらい〜かゆぅてたまらんで
  顔が腫れて赤くなってると聞いたもんで
  これ塗ってみなはれ〜」と差し出す器の中には
 なんだか茶色っぽい「汁」が入ってたそうです

 「これ?なんですやろ?」と聞くと
 おばあさんは
 「つくしの汁や〜あんさん
 表の庭に植えてはる枝ありますやろ?
 あれ!何処で取ってきはりましたんや?」と聞かれたそうです

 「あれは毎日、ウォーキングをしに山に行った時に
 綺麗なもんでつんできたんですわ」というと

 「あんさん
 あれは「はぜ」の木の枝ですわ〜「はぜ」の木にかぶれたんですわ」と
 おばあさんは医者より毅然と言い切りました

 「はぜ?」と聞くと
 「そぅや〜うるしの仲間の「はぜ」の木や〜
 昔はその実から「ろう」をとってろうそくを作ったんや〜」とおばあさんは言われたそうです

 「はぜ」にかぶれたら
 昔のもんは
 皆、つくしの汁を絞ってつけたんや〜いっぺん毎日塗ってみなはれ」
 とおばあさんは言い残して帰って行かれたそうです

 「つくし」から汁が絞れるんやな・・・と思いながら
 少ない汁を毎日、丁寧に顔に塗ると3日もしないうちに綺麗〜に治ったそうです

 その方は
 医者も分らなかった「はぜ」のかぶれを当てたおばあさんに偉く感謝して
 おばあさんにお礼を言いにいくと

 「昔から病気は言いふらせ !
  お金がないのは黙っとけ!と言うんや
  病気を隠そうとしたらアカンわ
  恥ずかしいのは病気やのォて
  金がないと言いふらすほうが、よっぽど恥ずかしいわ
  金がないなら黙って働いたらええねん!病気はたくさんの人に
  言いふらしておいたら
  こないして誰かがいい薬を教えてくれはるかもしれへんやろ〜」とケラケラと笑ってたそうです

 そのおばあさまは・・・・今は亡き・・・・うちの母です

 お節介なところを私が譲り受けたみたいです

 こんな木を見たらご注意を・・・・・・





  
            明蘭